ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「お前、俺がキスされると思って、妬いていただろ」

挑発的な目で私を見て言った。

「妬いていません!」

他に言うことあるでしょ?と思ったけれど、直真さんのネクタイをつかんで、私は唇を奪った。
不意打ちに悔しそうな顔をしていたけれど、何度かキスを交わして直真さんは笑った。

「妬けるって言えよ。バカ」

そんなことを言ったら、私の負けだ。
もう負けているのかもしれないけど―――

「俺の勝ちだな」

んんっ!?
完全勝利宣言?

「違いますっ!勝負に勝って、試合に負けただけですから」

「またわけのわからないことを…!」

「だから、引き分けでいいです」

「お前が決めるのかよ!」

「お願いがあるんです」

「なんだよ」

命令は嫌いって言ってたけど。知ったことではない。

「私以外の女の人に触れないで」

「馬鹿か。最初に言えよ。―――わかった」

照れたように目を伏せた直真さんは私にしかそれは見せない顔だった。
私だけ知っている顔ばかりだってことを私はもう気づいていた。
どちらからともなく、指を絡め、またキスをした。
こんなキスをされたら、離れられない。
この男にハマる―――
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