ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「私には直真さんがいれば、それで」

そっと耳元で囁いた。
意地っ張りでめんどくさくて、寂しがりやなこの人には不意打ちが一番、有効だと言うことを知っている。
直真さんは驚いた顔で私を見上げた。

「本当に何をしてくるか、わからないな―――」

直真さんは振り返り、唇を重ねた。
何をするかわからないから、面白いんでしょ?
頭のいい直真さんは先をわかってしまう。
だから、わからない私を選んだ。

「これからも振り回しますよ?」

「おてやわらかに。奥さん」

奥さん―――えへっとにやけた私に直真さんは笑い、またキスをした。

「好きだ、有里」

「私もですよ?」

「ゲームより?」

「えっ?」

私と直真さんはしばらくお互いの目を合わせたまま、固まった。

「……もちろんですよ!」

「今、間がなかったか?」

「ないです!ないない!」

イラッとした顔をされて、直真さんは深くキスをした。

「ま、待ってくださいっ」

私の言い訳を塗りつぶすようなキスをした。
激しいキス。
あ―――怒ってるなとわかったけどもう遅い。
そして、この後。
私が『好きです』というまで直真さんが体をなぶり、満足するまで言わされたあげくに謝らせた。
本当に嫉妬深くて、怖い男だ―――きっと私は魔王と結婚したに違いない。
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