【短編】悪魔―diable―




その次の日も、悪魔は言った。





「この薬をいらないか?これをこの国で一番高い山の頂で、風に乗せて撒けば、水は枯れ、大地はひび割れ、緑は消えうせ、生命は滅ぶだろう」




働き者の若い男は、悪魔を蔑みながら言った。



「そんな薬、いらないね。この世界が滅んだっていい事ないだろ」



悪魔は「そうか」と言うと、近くの湖の深い底へと沈んで行った。






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