【短編】悪魔―diable―



そして、ある雨の日も悪魔は言った。




「この薬をいらないか?これをこの国で一番高い山の頂で、風に乗せて撒けば、水は枯れ、大地はひび割れ、緑は消えうせ、生命は滅ぶだろう」




酒に溺れたこの国の王は、フフンと鼻を鳴らせていった。



「いいのか?それなら、このわしがこの世界を支配する事が出来るのだな」



悪魔は、王の問いには答えずに、粉状の薬を渡すと



「さらば人間」



そういい、悪魔の国へと帰って言った。






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