Present for you〜Gentleman side〜
「楓ちゃんに相応しい男になりたいだけなのに……」

かっこよくないと、頼りないって思われちゃう。楓ちゃんに頼ってほしいんだ。僕だけが助けられて、守られるなんて、嫌なんだ。なのにどうしてかっこよくなれないんだろう。

「……ッ!」

悔しくて、涙が出てきてしまう。人に見られたくなくて教室を飛び出し、裏庭に隠れるようにして泣いた。

「ちょっと、何泣いてんの?」

びくりと肩が震える。顔を上げれば楓ちゃんが呆れたように笑ってた。そして僕の頭にバサリと何かがかけられる。

「せっかくの誕生日プレゼント、涙で濡らしたくなかったら泣き止みなよ。あたしがせっかく徹夜で作ったんだから」

僕の頭にかかったのは、手作りの赤いマフラーだった。手作りとは思えないほど綺麗にできていて、まるでお店に売られているやつみたい。

「あと、あたしはありのままのあんたが好きなの!だから無理に変わらなくていいから!」

「えっ、それって……」

楓ちゃんは恥ずかしそうに笑って走っていく。僕は慌てて楓ちゃんを追いかけた。




マフラー「あなたに首ったけ」
< 14 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop