あたしの知らないどこかのだれかが熱愛してきます。
あのひと、の声は優しかった。
はじめて聞いたのは、夢のなかだった。
「アリス。きみのことが好きだよ。いつもきみを見ているよ」
穏やかで低く、聞き心地のいい声だった。
耳をなでられるような、くすぐったい感じがした。
「ぼくはきみのとりこなんだよ。わかるだろう? きみは美しいし、素晴らしい女性だから」
――知らない。
夢のなかで、あのひとに対して、つい素っ気ない態度をとってしまった。
褒められすぎると、困ってしまう。
――出て行って。
あたしは夢のなかで、あの人にそんな冷たい言葉を吐いた。
恥ずかしくて、ついそう言ってしまった。
あたしはそんな自分が嫌になって、走ってその場から去った。
優しい声は追いかけてこなかった。
ただあのひとが微笑んだような、そんな気がした。
(どうして笑うのよ)
目が覚めて、ベッドの上で、あたしは枕に顔を埋めて、眉根を寄せた。
理解できなかった。
酷い言葉を言ってしまったのに、あのひとは怒らなかった。
追いかけても来なかったけど、それはいったいどうしてなんだろう。
たぶんびっくりさせてしまったからかも。
そのまま二度寝したけど、次の夢のなかでは、あのひとの声は聞こえてこなかった。
はじめて聞いたのは、夢のなかだった。
「アリス。きみのことが好きだよ。いつもきみを見ているよ」
穏やかで低く、聞き心地のいい声だった。
耳をなでられるような、くすぐったい感じがした。
「ぼくはきみのとりこなんだよ。わかるだろう? きみは美しいし、素晴らしい女性だから」
――知らない。
夢のなかで、あのひとに対して、つい素っ気ない態度をとってしまった。
褒められすぎると、困ってしまう。
――出て行って。
あたしは夢のなかで、あの人にそんな冷たい言葉を吐いた。
恥ずかしくて、ついそう言ってしまった。
あたしはそんな自分が嫌になって、走ってその場から去った。
優しい声は追いかけてこなかった。
ただあのひとが微笑んだような、そんな気がした。
(どうして笑うのよ)
目が覚めて、ベッドの上で、あたしは枕に顔を埋めて、眉根を寄せた。
理解できなかった。
酷い言葉を言ってしまったのに、あのひとは怒らなかった。
追いかけても来なかったけど、それはいったいどうしてなんだろう。
たぶんびっくりさせてしまったからかも。
そのまま二度寝したけど、次の夢のなかでは、あのひとの声は聞こえてこなかった。