彼は過去の彼に殺される
息子の誕生日が来たら毎年渡して欲しい。
突然渡された手紙の束。

『3才の息子へ』『4才の息子へ』・・・
20才になるまでの息子宛の手紙だった。

本当は分かっていた。
彼はあんな冗談を言う人ではない。
彼は一生分の愛を伝えようとしてくれているのだと。

私は彼の言葉を信じた。

私は泣いた。
彼は私を抱きしめてくれた。

私達は互いの存在を確かめ合うように抱きしめ合い、声を上げて泣いた。
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