最後の恋だと、笑って下さい。


 貴方に出逢えたのは、きっと。
 私の人生の中で、最高の奇跡だったと思う。


「────て……っ!
ここから出して下さいませ、お母様!」

 そこは、光の遮断された暗い塗篭の中。
 突然引き摺られ、室内に放り投げられ、扉を閉ざされたのだ。

 閉じ込めたのは、私の実母。
 参議の父の、正妻の女だった。

 母からの愛情がないことは、知っていた。
 嫌われていることも、知っていた。

 きっと、母にとって私という娘は、目の上のこぶ。
 いない方がよかったと、本当は産みたくなかったのだと思われていることも、ちゃんと知ってる。
 だから、今日もこうして塗篭のなかに閉じ込められているのだ。
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