confused me
「はい、あーん」


適度に冷ましたシチューが入った木のスプーンを私の口元に運んだ。

戸惑う私に目で、早く食べなよ、と急かす。


「ん...おいしいです」


「ほんと!?よかったぁ」


パクパクと食べ進めて、パンも貰う。
彼はまた愛おしそうに、私を見つめた。


「ふふ、可愛すぎるなぁ...」


「...あの、律さん」


「んー?どうしたの?」


「お、お風呂...入りたくって」


私がそう言うと、彼はもちろん!なんて笑う。
そして足枷を外して、私の手を掴んだ。


「一緒に入ろうか」


「えっ」


「...ひひっ、その気の抜けた顔も、可愛くて好きだよ」


私の頬に手を当てて、むにむにとする。

かわいいなぁ、なんてまた彼が言った。


「お風呂、実は後で入ろうと思ってて沸かしてあるんだ。着替えは僕のがあるし、下着は一応用意してあるから」


逃げないでね、そう言って彼は私の手をしっかりと握った。
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