confused me
大通りをはずれた途端に車通りはなくなって、更には民家も、建物も見なくなる。

そして、山に囲まれ始めた。


「お前はなぜ逃げようとしない?」


「私には文字通り、彼しか残されていません」


「それだけじゃないだろう」


「......約束したんです。手枷を外してくれれば逃げることはしないと」


あの日の彼は、上機嫌だった。
それが嫌で、手枷を外せと言って不機嫌にして...

身の危険が迫って、本気で死ぬと思って、彼に手枷を外してくれれば逃げないと交換条件を出した。

逃げたら殺せ、そう直球に。


そうだ、そして不機嫌だった彼が元に戻って...


「大胆な約束だな。まだ若いんだろう」


「...学校に通う需要が私には分かりません」


「まぁマフィアは人を殺す闇の仕事と言うだけあって、給料は高い...リツについていい事の方が多いだろう」


しばらくすると、彼が着いたぞ、と車を止めた。
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