confused me
「......随分と、現実味のない場所」


山奥に、大きなビル――――

ぱっと見た感じ、20階は確実にある。
...それに、真っ黒。

窓はあるんだろうけど...当たり前のように、外からは見れない。


「ボスの部屋に行くぞ」


入口を入って正面のエレベーターに乗り込む。


「...目を隠すぞ」


そう言って彼の腕で目をおおわれる。
ピッ、ピッという機械音が数回続くと、ようやくエレベーターは動きだし、視界も自由になる。


「ボス、連れてきました」


ボスの部屋直通のエレベーター。
奥にある机。椅子に座って本を立て、顎を乗せてこちらを見る男。


「ふふ、初めまして。...私は工藤、この組織のボスだ」


立ち上がって、こちらに来る。

横にいたはずの男がいつの間にかお辞儀をして下がり、エレベーターで下に行ってしまった。


「君の名前を―――教えてくれるかね?」
< 58 / 100 >

この作品をシェア

pagetop