confused me

-Day 30-

あれから、時間は驚くほど早く流れた。
ゲームして、寝て、ご飯食べて、話して、寝て、寝て、ゲームして、寝て...


彼はどうやら安心しきっているらしい。
頬がいつも緩んでいる。


「今日はケーキを買ってきたんだ」


「...ケーキ?」


「だって、今日は君がここに来て30日だから」


もう30日か、なんて考える。
結局彼のことは思い出せずにいる。

自分でも、どうしてここまで覚えていないのかわからない。

恐らくだが、あまりにも彼といるのが日常的だったのだろう。

毎日毎日一緒にいる親とのことは、すぐに忘れる。
4日前に親と何を話していたかなんて思い出せないのと一緒で、彼といるのは日常だった。

もしくは、昔の話すぎたのか。

中学生に幼稚園のことを根掘り葉掘り聞いても、浅いような、親から聞いたような話しか出てこないだろう。

必ず語尾には“〜らしいですよ”なんて言葉がつく。


「優里、抹茶好きだったよね」
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