先輩の優しさ

言い合い

いつものようにバイトに行くと、事務所で
みなとさんと店長で言い合いをしていた。

「お前は、もう少し周りを見ろ目の前にいるひとりだけがお客さんじゃないんだぞ。」

「それは、分かりますけど。俺が料理を作らなかったら提供が遅くなるじゃないですか？」

「確かにそうした方が提供が遅くならないかもしれない。料理を作る人は、他にもいるだろ。お前が勝手な判断をする事によって運ぶ人がいなくなるじゃないか」

「俺の言うことを聞いておけ」

いつも、明るくて元気いっぱいなみなとさんが泣いてる。

その涙を拭き、
仕事に戻るみなとさんに店長は、

「おい、納得したのかよ」

こんな店長初めて見た。



バイトの時間になりタイムカードを押して仕事を始める。

さっきまで泣いてたようだけど、
いつものみなとさんに戻ってるようだった。

みなとさんのする、
お客さんが帰ったあとのテーブルの掃除は、速くて綺麗だ。

みなとさんのセットアップには、いつも助かっている。

私もそんな風になりたいと、提供しながら横目でそう思う。




みなとさんが休憩に休憩に入るため
さっきまでみなとさんがやっていた、セットアップをするためにそのテーブルに向かうと

「あとは、任せるね」

と言い、テーブルから離れていった。

「はい」

はい、とは言ったものの
ナフキンの数が少なくなっていたので取りに戻ると

みなとさんが、タイムカードを押す所だった。

店長が小声で
「俺に、あんな口の利き方二度とするなよ
休憩して頭冷やしてこい。」

衝撃的すぎて、この話は聞かなかった事にして仕事に戻るも､あの言葉が頭から離れなかった。