御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「レジ袋なんてまだまだ序の口もいいところですよ。本当に怖いのはね、これからだから!」

有里さんはそう言って、ため息を吐いた。
赤ワインをぐるぐると回しながら、

「奥様同士の付き合いで本当に大変なのは撫子《なでしこ》の宮《みや》会なんですよ」

「それ、なんだ?」

雅冬さんは初耳だったらしく聞き返した。
ぴっと有里さんは指を一本立てて言った。

「宮ノ入の社章である桜ではなく、一歩下がって撫子と名付けられたこの会は宮ノ入グループの奥様達の会です」

「小言のうるさいババア…いえ、奥様の会です」

にっこりと八木沢さんが微笑んだ。

「そんなものがあるのか」

なんでも八木沢さんは知っていて、隙が無い。

「何を他人事みたいに言っているのか。その会の会長は雅冬さんの母親の聖子さんですよ」

「知らなかったな」
< 123 / 170 >

この作品をシェア

pagetop