御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
紺のスーツに胸元にはすずらんのブローチ、スカーフを首に巻いていた。
その奥様は地味にみえるけど、一つ一つの物が上等な物を身につけているのがわかった。
これが本物の奥様って感じだよね。

「いえ。私が雅冬さんに出来ることってこれくらいで」

「本当ね。育ちはただの一般家庭だし、教養もおありじゃないものねぇ」 

確かにお茶やお花はできないけど。
そんな言い方しなくても。

「いつでも、雅冬と別れていいのよ。雅冬には素敵なお嬢さんを探しますからね」

「おやめなさいな。聖子さん」

ぴしゃりと強い口調で、その年配の女性は言った。

「雅冬さんが選んだ女性なら、間違いないでしょう」

貴子(たかこ)様」 

「副社長夫人の貴子様をひさしぶりに拝見したわ」

「まさか、聖子さん。貴子様になにか意見されるおつもりかしら」

ざわざわと奥様達が騒ぎ出した。
貴子様と呼ばれたおばあちゃんはゆっくりと周囲を見渡した。
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