御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「沖重グループってすごいのよ。バイトの菜々子にはわからないかもしれないけど、取引先も大手ばかりだし、有名銀行の偉い人もくるし」

「へー」

適当にあいづちをうっていると、親は目を輝かせて凛々子を見ていた。

「凛々子を大学に行かせて正解だったな」

「本当ね、一流企業に就職するなんて、すごいわ」

「菜々子は努力をしないから、だめなんだ。お前はまだバイトをしているのか?」

「結婚させたほうがいいかしらね」

父の収入が減り、学費を払えず、大学を中退させたことは二人の記憶からすっぽり抜けているようだった。
都合の悪いことはなかったことになるいい例だよね。
しかも、私は食費や光熱費を毎月、家に入れているけど、妹は入れていない。
凛々子が言うには一流企業に働いていて、付き合いもあるし、化粧品や服を買わないとダメだから、生活費に回す余裕がないらしい。
確かに私はそんなにいらないけど。
< 13 / 170 >

この作品をシェア

pagetop