御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
昔の女
今日の授業はまったく頭に入らなかった。
朝の女性は宮ノ入綾香さんというらしい。
会長の弟の孫で、つまりカナダに移住された貴子様のお孫さん。
海外支店で雅冬さんと一緒に働いていた―――そこまでは聞いた。
でも、親戚だからって、抱き合うなんてありえないわよね!?。
夕食の茶碗蒸し用の卵をぐるぐるとかき混ぜながら、悶々としていた。
「美人だったな…。しかも、スーツすごい似合ってた」
茶碗蒸しの器を蒸し器にいれた。
「ただいま」
ふらふらと雅冬さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
いつもより、疲れているみたいだった。
「どうしました?」
「いや、ちょっと疲れただけだ」
綾香さん絡みだと言うことは察しがついた。
「……そうですか」
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴り響いた。
げんなりした顔で雅冬さんがドアを開けた。