御曹司社長は恋人を溺愛したい!
鏡をふき、ごみを回収してっと。
化粧室の掃除が終わると、廊下に移動した。
ちょうどお昼の時間らしく、社長室のドアがちゃりと開くのと同時に秘書室のドアも開き―――

「社長、お昼ご一緒します」
「ずるーい。私も」

「社長はなにを召し上がりますか」

社長らしき人に人だかりができて、どんな人なのか、見えなかった。

「ねえ。みんなで一緒にランチにしましょうよ」

「まあ、それがいいわね」

「私達、仲いいんですー」

ええええっ!?さっきまで口をきいていませんでしたよね!?
きゃあきゃあと秘書室の人達は表向き仲良さそうに話しながら、歩いて行った。
女の戦いが凄すぎて言葉も出なかった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

掃除のアルバイトが終わったら、次はファミレスのアルバイト。
家にお金も入れないといけないから、アルバイトを二件かけ持ちしている。
大学に復学するためのお金も貯めたいのもあるから、ちょっと無理をしても頑張りたいっていうのが本音。
親は絶対に学費を出してくれないから……
せめて凜々子が家にお金を入れてくれたら助かるんだけど。

「和栗フェアが始まるから、デザート係の人はマニュアルを見ておいてくださいね」

「はーい!」

和栗フェアは大好きだから従業員食で制覇する予定。
楽しみだなー。
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