御曹司社長は恋人を溺愛したい!
二人は来客を予想していたようだった。

「やっぱり、きましたか。菜々子さん、隠れますよ」

手早くテーブルの上のお茶とケーキをキッチンに置き、有里さんは私の手を掴んだ。

「えっ!?」

リビングの隣にあるカウンターバーに有里さんと姿を隠した。
な、なぜ!?
そして、八木沢さんは綾香さんを招き入れた。

「直真。奥様は?」

「ああ。出掛けているんですよ。すぐに戻りますが」

「ふうん。ねえ、直真。雅冬が金曜日からいないのだけど」

「奥様と温泉旅行だそうですよ」

「雅冬が温泉?似合わないわね」

くすりと綾香さんは笑った。
隠れていなかったら、浴衣がどれだけ似合って、素敵だったかを説明してあげたいくらいだった。
人生損してますよ!!!って声を大にして言いたい。

「気づいていると思いますが。あなたが入る隙はありませんよ。いつまで勝ち目のない無様な姿をさらすんですか?」
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