御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「酷いこというわね。勝ち目がないことくらいわかってるわよ。じゃあ、直真が慰めてくれる?」

綾香さんは首に腕をからめ、八木沢さんを抱き締めた。
ちょっと!あんなことされて!
有里さんはいいの?
バッと振り返り、隣の有里さんを見ると、真剣な顔をしてスマホのカメラで写真を撮っていた。
ゆ、有里さん!?
いったい、何をしているの?
しかも、二台もある。
八木沢さんはこちらにちらりと視線を送り、有里さんは親指をたてた。
綾香さんは八木沢にキスを迫り、それを八木沢さんが、さらりとかわすと言った。

「私にも選ぶ権利がありますからね。綾香さんは正直、タイプじゃないんですよ。昔はまあ、利害関係で付き合いましたが、あなたとはそれだけですね」

にこにこと微笑み、綾香さんの両腕をひょいっとほどいた。

「相変わらず、性格悪いわね!」

「知っていたでしょう?だから、私でなく、まずは雅冬さんに近づいた」
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