御曹司社長は恋人を溺愛したい!
あまり早くに行くと、仕事の邪魔になるかと思い、ロビーで時間を潰していたのだけど―――エレベーターから綾香さんが降りてきた。

「雅冬に会ってきたの」

「そうですか」

以前なら、動揺していたかもしれないけど、今は雅冬さんがどんな気持ちでいるのか、わかったから、何を言われても平気だった。

「私はね、宮ノ入の社長の椅子も欲しかったけど、雅冬を手にいれたかったのよ」

私は気づいていた。
綾香さんは雅冬さんのことをまだ好きだったことは。
多分、勘の良い雅冬さんも気づいていたはず。

「雅冬は一度も私に本当の自分を見せなかったわね」

綾香さんは少し寂しそうに言った。
そして、こっちをまじまじと見つめた。

「雅冬はあなたのどこがよかったのかしら」

「少なくともオバサンよりはよかったんでしょ!」

私にそっくりな声がした。
いや、私は言ってない。
言ってないよ!?

「凛々子!?どうして、ここに!?」
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