御曹司社長は恋人を溺愛したい!
綾香さんはぽかんと口をあけていた。

「雅冬が、そんな子供みたいなこと」

ガシッと凛々子が腕を掴んだ。

「菜々子、買い物に付き合ってよ!今日は半日休みなの」

「あ、綾香さん!それじゃ、失礼します」

凛々子はこっちの返事も待たずに手を掴むと引きずるようにして、その場から連れ去ったのだった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「夕食、食べに行こうって行ったのに凛々子に付き合わされてしまって。ごめんなさい」

まったく、強引なんだから。
結局、服や靴、化粧品売り場にまでつれ回され、お茶まで付き合った。
おかげで、雅冬さんを待つどころか、遅くなってしまった。

「楽しかったなら、別にいい。それにこういうのもたまにはいいだろ」

ベイエリアのベンチに座り、ファミレスでテイクアウトしたピザと飲み物を置いた。
潮風が心地よい。
< 165 / 170 >

この作品をシェア

pagetop