御曹司社長は恋人を溺愛したい!
キスされたせいでハッキリと思い出せないけど、なにか言っていたような気がしなくもない。

「で、でも」

「俺が菜々子を気に入ったんだから、仕方ないよな。まあ。そういうことだ。秘書の仕事を辞めたければ、辞めていいぞ。まったく秘書の仕事していなかったしな!」

秘書達の息を呑む声が聞こえた。
怖くて秘書達の方を向くことができなかった―――


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「もぉー、最悪!」

帰宅した凛々子の機嫌は最高に悪かった。
乱暴にバッグをソファーに投げて言った。

「社長に恋人がいたらしいのよ、それも掃除のおばちゃん!どんな趣味なのよ。ありえないと思わない?」

「そ、そうなんだ」

目をそらした。
まさか、それ私の事?
お風呂上がりに冷蔵庫から取り出した、お茶を飲みながら、凛々子を見たけど、不機嫌すぎて怖い。
これ以上、ここにいるのは危険な気がする。
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