御曹司社長は恋人を溺愛したい!
姉はバイトをクビになる

次の日の朝、出勤すると清掃会社の営業所から珍しく所長が来ていた。
年配のおじさんで派遣先を決める人なのだが

真嶋(まじま)さん、急で申し訳ないけれど、お客様の要望で辞めてもらうことになったから」

―――と、会ったなり、言われた。
あまりの衝撃に言葉が出なかった。

「昨日、会社の方に宮ノ入グループの常務から、電話があってね。息子に色目を使ったバイトがいるって言われて参ったよ。辞めさせないと、契約先を全て切るって言われたんだよ」

「色目なんて、使っていません!」

「わかるけど。お客様から言われた限りはそうせざるを得ない」

「そんな……」

勤務態度が悪いなら納得がいくけど、色目って何?
おばちゃん達がずいっと前に出てきた。

「あんまりじゃないかい!所長!クビにしなくても配属先を変えてあげたらどうだい?」

「菜々子ちゃんは化粧もしてなかったし、眼鏡にマスクだよ?」

そうだよ!
ある意味、ノーガード、ノーディフェンスだよ!
クリーンな女だよ?
掃除のバイトだけにっ!
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