御曹司社長は恋人を溺愛したい!
親になんて言えばいいんだろう。
バイトすら、クビになる娘って思われそうで、ますます肩身が狭くなるのは目に見えていた。
バンッと休憩室のドアが開いた。

「しゃ、社長!待ってください!」

後ろから、偉そうなおじさんがついてきていたけど、完全に無視していた。

「いた!」

雅冬(まさと)さんは私を見つけるなり、ガシッと腕を掴んだ。

「まったく、見つけやすいところにいろよ」

私はカブトムシかなんかか!?

「バイト、クビになったって聞いたぞ」

「は?誰から」

ふと横を見ると復帰したシゲさんが息を切らせて、グッと親指をたてていた。
えっ、えー!!

「くそ親父が。まあ、安心しろ。働くとこなら、俺の秘書にでもなればいい。人事部長も連れてきたから―――」

「嫌です!そんなの本当に私が色目を使ったとか、思われるじゃないですか!」 

しかも、あんな鬼の巣窟に行ってたまるか!
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