御曹司社長は恋人を溺愛したい!
つまり、マンションに入った時、私が雅冬さんを誘っていたと思われてたから、あんなことになったわけ?
でもまあ、日常的に迫られていたなら、疑いたくもなる気持ちもわからなくはない。
雅冬さんの言葉に顔を赤くして、秘書達は社長室フロアから出ていった。

「やっといなくなったか!」

雅冬さんは秘書達がいなくなって、清々とした顔をしていたけど、私は渋い顔をするしかなかった。
お嬢様達があのまま、大人しく黙っているとは思えない―――


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「秘書なんかやりません!!!」

と、言っているのに強引に社長室に連れて行かれると、

「いいから、仕事を手伝え。行くところもないし、ヒマだろ?」

簡単に言ってくれた。

「誰のせいでこうなったと思っているんですかっ!」

「だから、ここで働けばいいだろ?ちゃんと給料も出るぞ」

「お給料……」

リストラ後、他のところで働きだしたとはいえ、父の収入も減っていたし、母はパートで家のローンもある。
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