御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「おはようございます。今日から、秘書の仕事、がんばってくださいね。雅冬(まさと)様が朝から張り切って準備されてましたよ」

運転手さんは笑いをこらえながら、言った。
遠足の子供か。
いったい、なにをしていたんだろう。

「逃げたら、困るから迎えにきたぞ」

「おかげで家は大騒ぎでしたよ」

しかも、朝早いし。

「社長。おはようございますー!」

凛々子がひょいっと、顔を出した。

「受付の真嶋凛々子(まじまりりこ)です。こんな姉ですみません。メイクはしないし、スーツも着ないで。非常識ですよね。今までバイトしかしたことないから、きちんとした格好もできなくて恥ずかしいです」

雅冬さんはこっちを見る。

「悪い。そうだよな。気づかなかった」

「え?」

「スーツと化粧、靴とバッグもか。必要なものを揃えるぞ」

「かしこまりました」

運転手さんは凛々子をさえぎり、ドアを閉めて運転席に座った。
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