御曹司社長は恋人を溺愛したい!
なんでもないことのようにうなずいた。
あまりの素直さにこっちが赤面してしまう。

「私じゃ、だめですか?」

凛々子は雅冬さんの体に身を寄せ、もたれかかった。

「だめだな」

即答され、凛々子はむっとしていた。

「そっくりじゃないですか!」

「はあ!?どこがだ?仕事の邪魔だ。もう出ていけ」

どんっと突き飛ばされ、凛々子は悔しそうな顔をし、出て行った。
鉢合わせるのが嫌で秘書室に慌てて入って隠れた。
凛々子が出ていくと、なに食わぬ顔で雅冬さんの前に出ていき、緑茶とタイ焼きを出した。

「盗み聞きか?」

「そんなことしてません」

「タイ焼き、冷たくなっているぞ」

ハッとして、タイ焼きを見てしまった。

「やっぱり聞いてたか」

震えながら、笑いをこらえていた。

「いいですよ。大笑いしても」

「違う」

雅冬さんは笑いながら、腕を掴んだ。

「聞いてたなら、わかっただろ」

耳元で低い声がささやいた。
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