御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「おめでとう、菜々子。よかったわね」

「う、うん。ありがとう」

にっこりと凛々子は微笑み、手を握った。
え?なに?この展開。

「まあ、がんばってね」

宣戦布告のように言うと、凛々子は部屋を出て行ってしまった。
嫌な予感しかしなかった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


次の日の朝、起きると、凛々子はもういなかった。
早いなあ。
ふあとアクビをしてクローゼットを開けるとスーツが一着足りない。

「あれ?」

なんで?
不思議に思っていたけれど、会社に着き、凛々子を見ると、その疑問は一気に解決した。
受付に私と同じメイクをし、髪型にし、勝手に私のスーツを着て座っていた。
さすがの雅冬さんも驚いていた。

「似てるな」

「双子ですからね」

凛々子が私の真似をしたこと以外は特になにもなく、午後になり、終業時間になった。
いつものようにファイルに書類を片付けていると、内線が鳴った。

「はい、社長室です」
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