御曹司社長は恋人を溺愛したい!
私が凛々子になにをしたというんだろう。
手が震えた。

「大丈夫だ。さすが菜々子の真似をされたら、ヤバかったけどな」

「ごめんなさい」

「なんで、謝ってるんだ?」

「わからないです」

涙がこぼれた。
気づくと髪をなでられ、抱き寄せられていた。

「仕事の時間じゃなかったら、良かったんだよな?今日、俺のマンションに来い」

私の不安をかきけすように雅冬さんは笑っていた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

もうこの部屋に来ることはないと思っていたのに―――まさか、こんな関係になって
部屋に入るとは思ってもみなかった。
真上から顔を覗きこまれ、唇を重ねた。
至近距離で初めて見た顔を見詰める暇もなく、すぐに唇を奪われて、それどころではなくなった。
何度もちゅ、と音をたてて、ついばむようなキスをした。
恥ずかしくて、顔を背けると手をどかされた。

「顔を見せろ。ちゃんと菜々子だってわかるように」

「雅冬さん」
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