御曹司社長は恋人を溺愛したい!
ぼうっとした顔で見上げると、唇を深く貪られた。

「はっ、あ」

息がうまくできず、口を開けるとそこから舌が入り込んで舌が口の中をなぞった。
背筋にぞわりとした感触が走る。
こんなの―――初めて。
足や手に力が入らず、崩れかけたのを必死でこらえて、ぎゅっと雅冬さんのシャツを握りしめた。
これ以上は無理、そう思っているのに大きな手が逃がしてはくれない。

「あ、や、やあ…」

足が震え、力が抜けてしまいそうになる。
それを見て、雅冬さんは微笑みを浮かべ、体を抱えて寝室に連れて行くと、ベッドに体を横たえた。

「大丈夫だ」

ベッドは雅冬さんの香りがして、まるで体ごと包まれているようだった。
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