御曹司社長は恋人を溺愛したい!
席から立ち上がり、荷物を手に店の外に出た。
なんで、みんな、すぐに凛々子に騙されてしまうんだろう。
凛々子の言葉の嘘がわかるだけに腹が立って仕方がなかった。
おかげで涙が引っ込んだ。
スマホで近くのビジネスホテルと不動産屋を検索していると、着信の文字が画面に出た。
雅冬さんだった。
そういえば、電話すると言っていた―――このタイミングで。
出ようかどうか、迷ったけれど、出ないほうがおかしい。

「もしもし?」

『菜々子。今、どこにいる!?』

焦っているのが、声でわかった。

「えっと、ファーストフード店にいましたけど」

『迎えに行くから、待ってろ!』

「え?」

『菜々子の家に電話したら、俺の両親がお前の家に来たっていうから』

「うん…」

『そこから一ミリも動くな』

「一ミリも!?」

一方的に切られた。

「……なんで?」

GPSでもつけられてるのかと思うくらい、早くに迎えに来てくれた。
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