御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
トラウマ
朝になると、雅冬さんは仕事に行ったらしく、いなかった。
枕元に体温計とペットボトルの水が置いてあった。
熱も下がっていたし、体も軽い。
シャワーを浴び、部屋着に着替えてリビングに行くと水とレトルトのおかゆと書き置きがあった。
書き置きには『起きたら電話しろ』とあった。
電話しなかったら、叱られそうな気がしたので、すぐにかけた。
「起きたか」
「すみません。仕事中に」
「いい。熱は?」
「下がりました」
「そうか。よかった。今日は部屋から出るなよ。必要な物は一階に電話して頼め。後、部屋に誰が来てもいれるな。俺の両親だとしても居留守を使え」
「は、はい」
「今日はなるべく早く帰るから、絶対にどこもいくなよ」
「わかりました」
念をおされた。
しん、とした部屋に一人だったけど、なぜか寂しいと思わなかった。
むしろ、安心する。
窓からは明るい海が見え、船が何隻も行き来していた。