御曹司社長は恋人を溺愛したい!
誰がきたのか、見ないでもわかるのか、きっぱりと言い切った。
がしがしとバスタオルで髪をふきながら、空いた手で腕を掴んで寝室に放りこんだ。

「耳を塞いでろ」

「で、でも」

「聞く必要はない」

問答無用とばかりにバンッと寝室のドアが閉められた。

「雅冬!また、あの女を連れ込んでいるのっ!?」

ヒステリックにわめき散らしながら、雅冬さんの母親、聖子《せいこ》さんが入ってきた。

「俺の部屋だ。ババアに関係あるか」

「しかも、なんなの!?お父様をおどして!」

「宮ノ入の常務の椅子を狙おうかな、と言っただけだ。仕事のできる奴が座るべきだろ。まあ、社長次第だが」

「瑞生さんに頭を下げるつもり!?」

「必要なら」

「だから。あなたはいつまでも瑞生さんにも愛人の子の直真さんにすら、勝てないのよ!」
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