御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
妹の罠
朝になると熱は下がっていたけど、過保護な雅冬さんは今日も病人扱いだった。
「もう元気になったから。一緒に仕事します」
「だめだ」
朝からこのやりとりを繰り返している。
「大事をとって、な。今日は好きなやつ頼めよ?遠慮なんかするな」
「はい」
「野菜は絶対に食えよ」
「はーい」
口うるさいお父さんみたいだなと、思いながら、送り出した。
「お昼はどれにしようかな」
メニュー表を並べ、うなっているとスマホの着信音が聞こえてきた。
凛々子だった―――
「菜々子、いまどこ?」
ビジネスホテルと言いかけてやめた
嘘を言う必要はないと思った。
雅冬さんは今までの人とは違う。
凛々子に誘惑されなかったんだから―――
「雅冬さんの家だよ」
しん、と間があり、何を言うのか待っていたけれど、なかなか返ってこなかった。
「そう」