御曹司社長は恋人を溺愛したい!
「誰とはこっちのセリフですよ。あのバカはどこにいるんです?」

苛立った声がした。 

「わ、わからないです」

「仕事を放りだして、女といるとは。まったくいい度胸ですね」 

近づいてきて、ひょいっと顎を掴まれた。

「それで、服も着ないで、こんなところにいるなんて。誘ってるんですか?」

よく見ると、前の社長である八木沢社長だった。
今は宮ノ入の社長秘書に戻ったと聞いた。
その八木沢さんの整った顔を近くで見ると、迫力があり、瞳は温度を感じさせなかった。
こんな姿を見ても動じることはなく、その冷静さが怖かった。

「ち、違います。服がなくて」

八木沢さんは呆れたようにため息をついた。

「バカだと思ってましたけど、訂正しましょう。大バカでした」

「そいつに触るな!!」  
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