魔法の恋の行方・7日目の恋(シリーズ5 ダリウスとリセ)

遊園地の試験・ボート

<遊園地・湖・その1>

護衛は・・いかねばならない。
拒否権はない。

リセは・・・
そろそろとボートの縁に足をかけた。

なにしろ、生まれてからこの方、
ボートなんか乗ったことがない。

それでも
ダリウスが手を取ってくれたので、何とか座る事ができた。

ダリウスがゆっくりとオールを操作して、漕ぎ始めた。

ボートが滑るように進んでいく。

リセは揺れるのが怖くて、
ボートの縁を握りしめていた。

魔女は・・泳いだ事がなかった。

水の中で魔力をどの程度、
使うことができるのだろうか・・

リセは考えを(めぐ)らしていた。

「リセ・・突き落としたりしないから、安心しろ」

ダリウスはからかうように声をかけた。
「はい・・」

水面がキラキラ揺れて光る。
風が吹くと、その痕跡をゆっくりと残していく。

ようやく、リセにも余裕が出て、
正面のダリウスを見る事ができた。

サングラスの彼は・・
なぜか楽しそうに見えた。

湖の中央までくると、
ダリウスはオールを動かす手を
止めた。
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