魔法の恋の行方・7日目の恋(シリーズ5 ダリウスとリセ)
<遊園地・食事・その3>

ダリウスはずっと、湖を見ていた。
水面が風に揺れ、
水鳥たちが連なって動いていく。

リセが食べ終わるのを
待っていてくれた。
この人の優しさ、気づかい・・・

リセは
シナモンの香りの中で考えていた。

この二人だけの共有する時間は
静謐(せいひつ)で穏やかな気がした。

が、今は勤務時間なのだ。

リセは食べ終わると
<切り替えねば>と心に言い聞かせた。

ダリウスの行動は予測不可能だから・・・

この優しさも、こちらを油断させるための伏線かもしれない。

「手を洗ってきますが・・」

リセは立ち上がり、
アイシングでべとべとになった手を見てから、次にダリウスを見た。

リセの疑いの視線を感じたらしく、サングラスの下でダリウスが笑った。

「逃げないから・・心配するな」

リセの脳裏に、
引き継ぎ書の<虚偽発言>が
浮かび、
再度ダリウスを見た。

「用心深いな・・まったく・・
一緒に行くから」

そう言ってダリウスは、
ベンチから立ち上がった。

リセはほっとした。
ボート小屋の裏手の水道で、
リセは手を洗い、次にダリウスも手を洗った。

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