エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「それだけじゃない。俺のために黙して、ひとりで産んでくれた。海翔を見たら、大切に育てられているのがわかったよ。ありがとう。森尾の芯の強さと行動力を尊敬する。この前、会った時に四葉のクローバーのメモ用紙を見せたよな。捨てることができずに取っておいた理由が最近になってわかった」

「理由……?」


布施が魅力的に微笑むから、瑞希の鼓動が加速した。


「俺は前から森尾が好きだったんだ。この通り仕事馬鹿の堅物だから、勧められた相手と婚約し、彼女を愛しているつもりになっていた。自分の本心が誰に向いているのかも気づかず。俺が惹かれているのは森尾だったのにな。この年になっても本心に気づくことができず情けない。申し訳なかった」

(嘘……信じられないよ。だって布施さん、そんな素振り少しも見せなかったじゃない。ただの上司と部下の関係が何年も続いていたのに、そんな話をされても……)


真摯な眼差しを向けられても、これも交渉術ではないかと勘繰った。

結婚して海翔を育てるというのが布施の望む責任の取り方らしいから、その目的達成のために瑞希が好きだと嘘をついたのではないかと。

「考えさせてください」
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