エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 瑞希と布施のスケジュールが合わなかったり、瑞希の両親が先に海翔とお出かけの約束をしていたり、こうして風邪を引いたりするからだ。

【そうですね。いつになるかわかりませんが、治ったら行きましょう】と返したら、間が開いた。

 会話は終了したのだと思いアプリを閉じたが、布施から返事がきた。

 トーク画面に戻ると、【会いたくてたまらない】という言葉が。

(そんなに……?)

 親子とはいえ、布施は海翔に一度しか会ったことはない。

 会いたくてたまらないほどの父性が短期間で育つものだろうかと、瑞希は不思議に思った。

 目を瞬かせつつ、【海翔の写真、送りましょうか?】と聞いたら、こんな返事が。

【海翔にも会いたいが、今は森尾に会えないことが苦しい】

 途端に瑞希の頬が熱くなり、鼓動が弾む。

 フランス料理店での好きだという言葉は本心だったのかと思いそうになる。

 けれども無垢な少女ではないので、簡単には信じない。

 なにより外交官時代に、騙されないよう全て疑えと教えてくれたのは布施である。

 深呼吸して速まる鼓動を鎮めた瑞希は、嘘をつく。

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