エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 友引なので結婚式の予約が三件あり、瑞希は午前と午後に一件ずつサービスの仕事をしたところだ。

 午後の披露宴がお開きとなり、来客たちがぞろぞろとホールを出ていく。

 従業員一同頭を下げて見送って、扉が閉じた途端に慌ただしく片づけが始まる。

 五十ある円卓上の食器やカトラリー、エプロンなどを片付け、テーブルクロスをはいで天板を外す。

 大きくて重たい木製の天板は、縦にして転がしてバックヤードに運ぶ。

 それでも非力な女性スタッフでは難しく男性スタッフの仕事とされているのだが、瑞希は若い男性たちに交じって一緒に天板を転がした。

「森尾さんはなんでもできるんですね。力持ちですごいです!」

 集めたテーブルナプキンを両腕に抱えた鏑木に褒められ、瑞希は苦笑する。

(イヤイヤと暴れる海翔を右肩に担いで、左手に牛乳や醤油のボトルの入った重たい買い物袋を提げて帰ることもよくある。そのせいで筋力がついたよね。私も一応女だから、力持ちと言われても喜べない)

 二十八人の従業員の手により、披露宴会場がたちまち崩され、元のなにもない状態に戻されていく。

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