エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 高砂を飾っていた花を持ち帰りたいと新婦に言われ、披露宴終了後に花束にして控室に持っていくよう指示されていた。

 それを忘れていて慌てて周囲を見回したけれど、今にも片づけが終わりそうなホールに花はない。

 捨てられてしまったかと瑞希が焦り顔をしたら、蛭間が「大丈夫」と言ってくれた。

「他の人に頼んだから、もうそれは済んでるよ」

 ホッとしてお礼と謝りを口にした瑞希に、蛭間が心配そうな顔をする。


「疲れてる? シフトきつい?」

「いえ、そんなことはないです。ちょっと考え事をしてしまい……気をつけます」


 叱られて当然と思い反省した瑞希だが、蛭間が思いがけないことを言う。


「悩み事があるなら、相談に乗るよ」

(えっ……?)


 最近の蛭間は態度が柔らかいとは思っていたが、悩み相談までとは意外である。

 叱られずに済んでよかったとは思うけれど、蛭間にプライベートの相談をする気にはなれないので断りの言葉を探した。

「子供のことで問題を抱えていまして。でも大丈夫です。いますぐ答えを出さなきゃならないことでもないので。ご心配ありがとうございます」

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