エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 子供のことでと言ったのは、そうすれば蛭間も追及してこないと思ったためだ。

 蛭間は独身男性で、子育てに関して相談役にはなれないだろうから。

 すると蛭間が寂しげに眉を寄せた。


「そっか。大丈夫か……。あのさ」

「はい」

「そういう時は一旦悩みを忘れて、気分転換に遊びに行くといいよ。日を改めて考えると、案外すんなり解決するものだよ」

「蛭間さん……優しいんですね」


 瑞希の中で、蛭間は初めの頃の印象と随分変わった。

『オールバックの黒服星人を倒してくる』とは、もう海翔に言えない。

 気遣ってくれる彼にお礼を述べ心からの笑みを向けたら、蛭間が照れくさそうに笑った。


「森尾さんが笑顔になってくれてよかった」

「いつもムスッとしてます?」

「いや、いつもも笑顔だけどなんていうか、仕事用って感じだったから。今はいい感じ」

「ありがとうございます。蛭間さんのアドバイス通りに気分転換してみますね。平日の休みの日に、子供とどこかに出かけて遊んできます」


 そう言ったら布施の顔が浮かんできたが、平日の彼は仕事があるので誘えない。

< 132 / 224 >

この作品をシェア

pagetop