エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「えっ、暑いの? うーん、じゃあマフラーと帽子は取ろう。上着は脱がないで」

「イヤ。あちゅいの!」

「困ったな。それなら、中のベストを脱ごうか」


 布施は黒のハーフコート、瑞希はキャメルのダッフルコートと帽子という姿だが、海翔は風邪を引かせたくないので、ダウンジャケットやベスト、タイツや手袋など、防寒アイテムを色々と着せてしまった。

 暑がる海翔の衣類を調節しながら、瑞希は昨日の職場でのことを思い出す。

 瑞希は中学生の時に一度ここに来園しただけの、ほぼ初心者である。

 それで年間パスポートを持っているという鏑木に相談した。


『海に近いからきっと寒いよね。子供にどんな格好をさせて行けばいいかな?』

『そうですね、夜のパレードまでいるならダウンジャケットですね。ベストやタイツ、帽子マフラー手袋、脱ぎ着できるものがいいんじゃないですか。冬は本当に寒いですよ。でもクリスマスシーズンは一番見応えあると思います』


 それは中ホール裏のパントリーでの会話だったのだが、ふと後ろに気配がして振り返ったら、蛭間が暗い顔して立っていた。

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