エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 どうやら、やきもちを焼いたのは海翔のようだ。

 瑞希と布施は笑って、海翔を挟んでベンチに座る。

 海風が吹く寒い園内でも心は春のように暖かく、三人で食べるワゴンフードはどんなご馳走より美味しく感じられた。



 それから数時間が経ち、キャラクターの着ぐるみやダンサーによるパレードの時間になる。

 ここまでは布施の車で来た。

 暗くなる前に帰る予定であったのに海翔が『もうしゅこし』を繰り返すため、気づけばとっぷり日が暮れてしまった。

 ベビーカーを持ってきたが、ほとんど乗らずお昼寝もせずに元気いっぱい遊んだ海翔は今、布施の腕に抱かれてスヤスヤ寝息を立てている。

 パレードを見たいと言っていたけれど、さすがに電池切れのようだ。

 大音量のクリスマスソングが流れる中、眩しい電飾で飾られたパレード車がゆっくりと通る。

 見物客が人垣を成し、歓声も大きい。

「よく寝られるな」

 パレードから遠ざかりつつ感心したように布施が言い、荷物を載せたベビーカーを押している瑞希がクスクスと笑った。


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