エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「まだ寝ない、帰らない、もっと遊ぶと散々ごねて、急にパタッと寝てしまうんです。いつものことですよ」

「そうなのか。海翔と遊ぶのは体力がいるな」

「疲れました?」

「ああ。だが、心地いい疲れだ。今日は楽しかった。ずっと三人の時間が続けばいいと思うほどに……」


 布施の声はどこか寂しげで、パレードの音にかき消されてしまいそうだ。

 向かっているのは出口で、夢の時間は終わりである。

「私も海翔も楽しみました。また来ましょう」

 そう答えた瑞希も寂しい心持ちになっていた。

(次にここに来られるのは、いつになることか)

 瑞希が今の仕事をしている限り、布施とはすれ違いでレジャーの予定を立てにくい。

 結婚して瑞希が家庭に収まるか転職すれば時間は作りやすいが、結婚に待ったをかけているのは瑞希自身である。

 パレードから離れたので、海翔の寝息がスピスピと聞こえる。

 出口のゲートの手前には西洋風のアーケードがあり、キャラクターグッズや土産物を売る店が連なっていた。

 クリスマスカラーのデコレーションが可愛らしく華やかだ。

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