エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 皆が一斉に布施に振り向いて、目を見開いていた。

 それでも、瑞希の驚きにはかなわない。

(布施さん!? どうしてしまったの!?)

 クールで理知的、仕事では厳しい上司であった布施が、まさかこのような場所で感情的に愛を叫ぶとは信じられなかった。

 瑞希は数秒固まってから、誰かの口笛や冷やかしの声でハッと我に返った。

(こんなに人がいる場所で、恥ずかしい……!)


「今のプロポーズ、そこの女の人に向けてかな?」

「子供いるじゃん」


 後ろから見知らぬ人のそんな会話も聞こえてきたというのに、布施はまだ「愛しているんだ!」と叫んでいる。

 羞恥で真っ赤に顔を染めた瑞希は、ベビーカーを置いたまま寝ている海翔だけを抱えて布施に駆け寄った。


「愛して――」

「布施さん、わかりました! もう充分に伝わりましたので、そこまでにしてください!」


 困った瑞希が片手を伸ばして布施の口を塞ごうとしたら、その手を引っ張られて海翔ごと抱きしめられた。

 鼓動が跳ね喜びが湧き上がるが、それよりも今は恥ずかしい。

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