エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 瑞希に信じてもらいたいなら大声で愛を叫べ、とアドバイスされたことを打ち明けられた。

「小堺は冗談で言ったはずだ。俺も、そんなことはできないと思ったんだが、他に手段が浮かばず……」

 外交官として種々の交渉事に幾度となく挑んできた布施が、愛情を伝える手段を他に思いつかなかったというのだから、意外で面白い。

 瑞希がまた笑ったら、拗ねたような目をした布施に十センチの距離まで顔を近づけられた。

 たちまち瑞希の鼓動が高まる。

 形勢逆転とばかりにニヤリとした布施が、甘い声で催促する。


「それで、返事は?」

「い、今、言うんですか?」

「ああ。欲しいな。返事をくれないとまた大声で叫ぶぞ」


 それは勘弁してほしいと、瑞希は慌てて答える。


「布施さんのプロポーズをお受けします」

「理由は?」

「え、理由?」


 なにかを期待している目に至近距離で見つめられ、瑞希は赤面した。


「私も、愛していますので……」


 恥ずかしくても、視線を逸らせないほど至近距離に端正な顔がある。

 その目が嬉しげに弧を描き、吐息交じりの声が瑞希の唇にかかった。


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