エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「俺の家にあるから取りに来てくれ。いつにする? 帰りに寄って、そのまま泊まっていくか?」

 瑞希の自宅近くのマンションに引っ越してきた彼なので、泊まらせずともすぐに送っていけるはずである。

(ということは……)

 誘われていると気づいたら、瑞希の顔が火を噴きそうに火照る。

 三年ほど前の、彼との情事も思い出してしまった。

「あ、あの、今日はいいです。心の準備をしてから……」

 瑞希が恥ずかしげに断ると、布施がククと笑う。

「早めに頼む。瑞希……」

 再び距離を詰められる。

 満開の花火を背景に、瑞希はもう一度唇を奪われたのであった。



 テーマパークに出かけた翌週の日曜日、十四時からの仕事の前に瑞希は初めて布施の家に足を踏み入れた。

 ファミリータイプの4LDKで、リビングは二十畳ほどもある。

 しかも十五階で日当たりがよく眺望良好だ。

 エントランスにはコンシェルジュまでいて、贅沢なこの住まいに瑞希と海翔は近日中に引っ越す予定になっている。

 今日はその下見と、瑞希の左手の薬指にはめられている、このエンゲージリングを受け取るために訪れていた。

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