エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 それと、目的はもうひとつ……。


「布施さん、あの……子供部屋、素敵でした。本棚におもちゃ箱、ベッドや机まで用意してくださって、ええと……」

「それはさっき、家の中を案内した時に聞いたぞ。緊張しているのか?」


 ここは十二畳の寝室で、クイーンサイズのベッドが置かれている。

 まだ正午にもなっていない明るい時間だが、先ほど布施の手によってカーテンが閉められたので薄暗い。

 白いカシミア素材のセーターとフレアスカートという小綺麗な服装の瑞希は、ベッドを前に立ち、鼓動を高鳴らせている。

 布施と話しながら指輪をいじったり髪を手櫛で整えたりセーターの裾を引っ張ったりと、目に見えて落ち着きをなくしていた。

 布施はベッドの端に腰かけていて、余裕が少しもない瑞希をククと笑う。


「三年前、酔い潰れた俺を誘ったのに、今さら照れなくてもいいだろ」

「あ、あれはもう忘れてください!」


 あの夜よりも、布施と結婚前提で交際中の今の方が不思議と緊張が強い。

 洗いざらしの布施の髪や、全開のボタンダウンシャツから見えている逞しい大胸筋や腹筋。

< 186 / 224 >

この作品をシェア

pagetop